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過剰な自主回収が食品ロスを加速させる

ここ1ヶ月、食品安全に関わる問題が紙面を賑わせています。缶詰に虫が入っていた、冷凍食品に病原性大腸菌が含まれていた。
このニュースに接し被害に遭った方は気の毒だと思うし、
事故を起こした企業はしっかり対応してもらいたいと願っています。
ただね、ちょっとヒステリックになりすぎている人たちが散見されます。
何か問題あれば「自主回収しろ!」「それが当然だ!」と騒ぎ立てる方々です。
なぜ、ヒステリックに感じるか話しに入る前に前提となる企業や行政側のルールを説明します。
企業が商品回収(リコール)する場合の条件は概ね3つです。
①健康被害
②法令違反
③拡散性(不具合品の規模)
これに最近は、企業のブランドイメージ低下など社会的影響を加味するようになってきました。
法令違反の場合、行政命令が出ますが判明した時点で企業が自主的に回収を行うことが殆どです。
金属片やガラス片が混入していれば危険です。
食中毒を引き起こす菌が紛れていれば危険です。これらは直ちに回収すべきです。
しかし、髪の毛が入っていた、虫が入っていた等は、気持ち悪くても身体に重篤なダメージは与えません。
また、100万個の製品に対して1件や2件の発生で同様の被害が拡大するとは言いません。
こういうケースでは商品回収は行いません。また、すべきでもないです。

人によっては、「バカな!気持ち悪い商品は排除すべきだ!金儲け優先のエゴだ!」とお考えかもしれません。
でもね、私が伝えたいのは地球全体の課題です。
無用な自主回収が「食品ロス」を助長しているってことなんです。
日本では、年間632万トンの食べ物が捨てられています。
これは日本の魚の年間消費量に匹敵する量です。
国民ひとりあたりに換算すると、ひとり1日あたり、おにぎり1個捨てるくらいの規模感です。
食品ロスの半分は事業者から、半分は家庭から発生しています。
食品ロス解決のために最優先すべきことは、廃棄物を出さないこと。
長期間保存できる食品の賞味期限を年月表示に切り替えたり
賞味期限の見直しを行ったり、
季節限定品(クリスマスケーキ、バレンタインチョコ)などを見直したり
各企業が様々な取り組みをはじめています。
その一方で、一部の過敏な方々が無用な「自主回収」迫る訳です。
お怒りはごもっとも。しかし、あなたの一言で何が引き起こされるのかを考えて頂きたいのです。
2年前の年末。インスタント麺の虫混入では、店頭から引き上げられた製品を全て廃棄している
映像がながれました。工場は操業停止、仕事は廃棄するのみ。非常にむなしい作業です。
もっと身近な例を申し上げましょう。
「商品にカビが生えていた。店頭の商品もカビが生えているかもしれない。店頭の商品を下げるべきだ。」
という事故が起こったとしましょう。
店頭の商品は、全て下げられメーカーに送り返されて何十箱も全品を検査します。
検品のために開封した商品は全て廃棄します。
当然の如く100万個に数件の確率ですから同じ店頭で2個目が見つかることはありません。
お客様は正義感あふれる方で、良いことをしたと思っていらっしゃるはずですが、
一方で多くの食品を廃棄するに至らしめた訳です。

あなたの正義は本当に正義なんでしょうか?


物事を多面的に見ていただきたいと強く感じます。
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同じレースにライバルは居ない。みんな友達。ライバルは時間なんだ。

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